ハンガリーが誇る貴腐ワインの銘醸地!トカイワインの歴史を知ろう

貴腐ワインが有名なハンガリーの「トカイ地方」

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ハンガリーの首都ブダペストの北東230kmに位置するトカイ地方は、世界三大貴腐ワインのひとつ「トカイワイン」の産地として大変有名です。
トカイワインの芳醇な香りと濃厚な甘さは、フランス国王ルイ14世などたくさんの王候貴族にも愛されてきました。

トカイ地方の丘陵地帯のブドウ畑や農村は、中世からその姿形が変わることがなく、ワインセラーの役割を果たしている地下の貯蔵庫などの景観も、とても美しいです。
トカイ地方のブドウ畑の景観は、2002年にユネスコの世界遺産に登録されています。

私もハンガリーを旅行した際に、トカイのブドウ畑を見てきましたが、本当に素晴らしかったですよ。

トカイワインの歴史

トカイは、貴腐ワイン発祥の地としても知られています。
また、1737年に世界で最初にブドウ畑の格付けが行われたワイン産地でもあります。

もともとハンガリーは、中世ヨーロッパではワイン大国でした。
しかし、16世紀半ばからオスマントルコの侵攻を受け、ワイン造りは低迷時代が長く続きます。

戦乱の影響で本来の収穫期にブドウを収穫することができず、多くのワイン生産者がワインの醸造を諦めましたが、一部の生産者が収穫の遅れたブドウを使ってワインを造ってみたところ、とても美味しかったのです。これが、世界初の貴腐ワインと伝わっています。

ウイーン包囲戦でトルコが敗れ、ハンガリーがオーストリアのハプスブルグ帝国に組み込まれたのを機に、ハプスブルク家の宮廷文化の栄華とともに、トカイワインはヨーロッパ全土へと広まっていきました。

トカイワインの種類・味の特徴

トカイワインは、ワイン法が2013年に改定され、貴腐ブドウの使用割合によって定められた規格に基づいて、細かく等級分けされています。
トカイワインの原料に使われるのは、主にフルミントというブドウ品種で、甘口だけでなく辛口ワインの醸造にも適した品種です。

トカイ地方では、他にもハールシュレヴェルーやシャールガムシュコターイ、イエローマスカットなどの品種も栽培されています。
トカイワインは、単一品種で造られることもありますが、複数のブドウ品種をブレンドして造られるのが一般的で、多様なワインが生産されています。

ここからは、トカイワインを代表する「トカイ アス―」と「サモロドニ」について解説します。

トカイ アスー

「トカイ アスー」は、トカイ地方で造られる貴腐ワインの中で最も有名で、世界的にも広く親しまれている甘口ワインです。
貴腐化したブドウを一粒ずつ丁寧に手摘みで収穫して、ベースとなる白ワインに加えて醸造されます。
ベースとなる白ワインに対して、貴腐ブドウを加える量によって、ワインの糖度が決まります。

基準となるのが、貴腐ブドウを収穫する際に使う「プットニョス」と呼ばれる背負いカゴで、背負いカゴ1個分=1プットニョスです。
2013年以前は、3~6プットニョスのワインをトカイ アスーとしていましたが、2013年以降に収穫したブドウを使ったトカイワインでは、最低残糖分は120g/L以上、熟成は最低3年以上と定められています。
従来の5~6プットニョスに相当するワインのみが、トカイ アスーに該当します。

トカイ アスーは、完熟した果実の上品でフルーティーな香りに、貴腐ワイン特有の奥深い香りや甘みと、微かに苦みも感じられます。

サモロドニ

「サモロドニ」は、「自然のままに」という意味の、伝統的な製法で生産されるトカイワインです。
房ごとに収穫したブドウの個性を生かして造られるため、ブドウが貴腐化している程度によって、辛口(サーラズ)と甘口(エーデシュ)に区分されます。

甘口のものでも最低残糖分は30g/L以下とトカイ アスーに比べると糖度はかなり低めで、最低熟成年数は2年間と定められています。

辛口タイプが充実しているのが特徴です。

まとめ

ハンガリーは、東ヨーロッパの中でもワイン造りの歴史が長いことで知られています。
世界三大貴腐ワインのひとつであるトカイワインは、甘口から辛口まで様々な味わいの貴腐ワインが楽しめるのも魅力です。
ぜひいろいろなタイプを飲み比べてみてくださいね。

貴腐ワインを通販で購入することも可能です。
【トカイ】極甘口の「貴腐ワイン」とは?ワイン通販で簡単に買える?にて詳しくご紹介していますので、是非あわせてご覧ください。